創業ストーリー・日本ベッドのあゆみ

日本人は、いつから
ベッドに眠っているのでしょう。

仮に、毎日8時間の睡眠をとるとしたら、人生の三分の一は眠りのなか。
眠り方を選ぶことは、三分の一の生き方を選ぶこと。
少々大げさと思われるかもしれませんが、私たち日本ベッドは、そう考えています。

日本人が、その大切な時間を過ごすためのスタイルを、現代のように選べるようになったのはいつのことでしょう。

弥生時代の竪穴式住居跡には、一種のシングルベッドともいえる土壇式の寝台が備えてありました。正倉院には聖武天皇が使われたという木製の寝台が現存しています。原始時代から奈良時代まで、日本にも存在していたこうしたベッド（寝台）は、時代がくだって住まいの様式が変化するとともに、姿を消していきました。

現代のような姿でベッドが登場するのは、明治の頃。江戸時代に定着した「畳に布団」という様式に「西洋式ベッド」という新しい選択肢が加わりました。上流階級の人々が使用するようになり、やがて、国内生産がスタート。ベッドは一般的な寝具として、眠り方や眠る場所のあり方に、新しい自由をもたらしたのです。

はじまりは、一人のホテルマンから。

日本の新しいライフスタイル「ベッドで眠る暮らし」。それは、一人のホテルマンの強い想いから始まりました。

そのホテルマンこそ、日本ベッドの創設者宇佐見竹治です。帝国ホテルに10年間勤務した後、大正半ばに商社マンとして渡英した宇佐見は、西欧のライフスタイルに驚きと感動を覚え「ベッドで眠る」文化を日本へ持ち帰りたいと考えました。

帰国後、畳と布団に慣れ親しんだ日本人にも合うベッド&マットレスというスタイルを研究。1926年（大正15年）、洋式寝具のメーカー「日本羽根工業社（後の日本ベッド製造株式会社）」を興し、日本でのベッドの普及に貢献しました。以来100年、一人ひとりに上質な眠りを届け、ベッドのあるライフスタイルを進化させてきた日本ベッドの歩みは、日本人が体感してきたベッドの歴史そのものといえます。

いいものが、いい感性をはぐくむ。

創業者・宇佐見竹治がイギリスで体感したのは、どんなベッドだったのだろう。もしもその時、その姿や寝心地に心動かされることがなければ、日本ベッドという会社は生まれなかったのかもしれない。そう思ったとき、上質なものと出合うことの大切さに気づかされます。

いいものは、いい感性をはぐくんでくれる。私たちはそう信じるからこそ、いいベッドとの出合いをお届けしたいと思うのです。

「こだわり」を「あたりまえ」に。

はじめはたった一人の社員の、ひらめきだったかもしれない。あるいは職人気質ならではの、思い入れだったかもしれない。けれどそれは、緻密で確かな技術によって具現化され、私たち日本ベッドの「こだわり」へ。

ひとつひとつの「こだわり」は、年月のなかで鍛えられ、製品づくりの「あたりまえ」になっていく。「あたりまえ」を妥協なく続けることによって、日本ベッドというブランドの信頼は守られてきました。そして、次に生まれる新たな「こだわり」が、日本の眠りをさらに一歩、進化させることになるでしょう。

いま、ここでしか生まれない品質。

四季ある国、日本。そのうつろう景色を愛で、日々変わる空気を敏感に受けとめる日本人。私たち日本ベッドは、いつの時代もこの国に暮らす感性を満たし、いまここでしか生まれない品質をお届けしたいと思っています。

「MADE IN JAPAN」「MADE BY 日本ベッド製造」へのこだわり。それは、数多くの特許取得や実用新案・意匠登録、製造機械そのものを自社製造するという開発姿勢にも表れています。日本ベッドは、日本の気候、日本人が好む心地よさを知り尽くした国産メーカーとして、理想の眠りをカタチにするという、使命感にも似た気持ちを持っています。

最後のピースは、熟練の感性。

寝心地のよさは、ひとつひとつのピースがつながるようにして生まれます。
眠りの科学、実験によるデータ、過去からの学び、そしてもちろん、たくさんのお客様の声。

それから、いまここにあるベッドに寝てみることではじめて感じられる、言葉や数字にならない何か。
日本ベッドには、それを形にしてきた人間がいます。

最後をつなげるピースは、目に見えないけれど確かにある、職人たちの感性なのです。

寝心地も、居心地も、いいベッド。

ベッドは、ライフスタイルを演出する大切なパートナー。快適な眠りには、寝心地のよさも、居心地のよさも必要です。

日本ベッド創業者の宇佐見竹治は、ベッドの製造とともに、豪華客船や列車、ホテルの内装に関わる事業も幅広く手がけていました。その場所でどのように過ごしたいか。どのような過ごし方が理想的なのか。空間をしつらえる感性は、時代の流れを超えて受け継がれています。