日本ベッドハカセは何かにつけて眠りのお話をしに出て来ます。
◇
─「いいお天気だあ!朝日が気持ちいいよ」
─「朝日とお似合いだな、にこかめくん!」
お日様の恩恵、だな
光には、体内時計のリセット効果があって、
交感神経を優位にする強力なスイッチだ。
太陽のもとでアクティブに過ごすと、ぐっすり眠れる。
それは体が疲労するからというだけじゃない。
光をたっぷり浴びることに意味があるんだね。
目から入る光は、
脳に「睡眠から覚醒に切り替えよ!」という指令を出す信号だ。
人は脳内の視床下部の視交叉上核に体内時計(生物時計)を持っている。
これは概日リズム(サーカディアンリズム)を形成するために、
おおよそ24時間周期のリズム信号を発振し、体内環境を変化させる機構だ。
体温やホルモン分泌などは、この機構によってコントロールされる。
この時計の一巡りは、一般的に24時間より若干長い。
そこで、この時計のタイミングを
外界の昼夜変化(24時間周期の明暗変化)に同調させるシステムがある。
網膜から視交叉上核への神経線維連絡もその一つだ。
朝に強い光を浴びると、体内時計は前進し、
逆に夜に強い光を浴びると、後退する。
午前中に太陽の光をたっぷり浴びることは、
体内時計と外界周期のずれを整えることにつながる。
(n.10)
◇
─「日のあるうちに、お散歩だぁ」
─「夕方のお散歩、いいねぇ」
夕方の軽い運動はいいぞ
人体には恒常性の維持機能(ホメオスタシス)の働きがある。
眠りにつく頃、深部体温は下がり始め、同時に自然な眠気も訪れる。
この時、深部体温が大きく早く下がると、スムーズに眠りにつくことが出来るんだ。
健康な若い人で、1℃弱下がると言われているよ。
夕方に軽い運動をして体温を上げておくと、
眠りに向けた体温の高低差が大きくつく。
ぐっすり眠る助けになるぞ。
(n.09)
◇
─「夏はこの部屋、蒸し暑いね。飛んでて羽根がべたべたしちゃう」
─「冬は乾燥するね」
─「温度・湿度をバランスよく。季節に合わせて工夫をしよう」
寝床内(しんしょうない)気候の話をしよう
寝具の中の温度や湿度を「寝床内(しんしょうない)気候」というんだ。
温度は体温よりも少し低い33℃前後、
湿度は季節による差も大きいが、50~60%にキープするとよい。
とはいえ、実際に
寝床内気候を計るのは難しいから、
室内の温度や湿度が目安になる。
快適な寝室環境は、
温度16~26℃、湿度50~60%程度。
これを目安に、体の気候順化なども考えて
温度と湿度をコントロールしよう。
同じ温度でも、湿度によって快適さが変わる。
温度とあわせて湿度も意識するようにしよう。
湿度が高すぎると、汗ばんで不快になる。
何よりも、眠るときに深部体温が下がりにくくなり、
睡眠の質が悪化してしまう。
かと言って、湿度ばかりを気にしてエアコンを使い過ぎると、
夏は体が冷え過ぎたり、冬は乾燥が酷くなったりする。
節電も心掛けたいところだ。
エアコンの除湿機能や加湿器を上手に使おう。
着るものや、寝具にちょっと気を使うのもいいぞ。
夏は通気性の良い素材や、さらっとした肌ざわりの寝具を。
冬は保温性の高い素材や、肌ざわりのやわらかい毛足の長い寝具を。
小物で工夫するのもいい。
夏は冷やしタオルで頭部の皮膚温度を下げてみよう。
冬は足元を湯たんぽなどで程よく温めるといいな。
寝るときにはゆったりしたパジャマがおすすめだ。
体を締めつけず、リラックスできるので
体の疲れが取れる。
肌との間に適度な空気層が出来て、体温調節もしやすい。
(n.07,08)
◇
─「うさみん、毎日夜更かし、よくないなー」
─「厚労省のデータにもあるぞ」
データを見てみよう
厚生労働省 平成30年国民健康・栄養調査によると、
「ここ一ヶ月間、睡眠で休養が十分に取れていない」という人の割合は
平成21年以降、有意に増加しているそうだ。
令和元年 の調査では、
6時間未満の人の割合は、男性30-50歳台、女性40-50歳台で4割を超える。
過去の調査を見ると、
睡眠時間6時間未満の人たちには
「日中、眠気を感じた」と答える人の多い傾向がある。
参考文献:厚労省 国民健康・栄養調査結果の概要(平成27年 p.27-28)(平成30年 p.22)(令和元年 p.56-57)
(n.06)
◇
─「まぶしいわ。これなら夜だって飛べちゃう」
─「眠るとき、どのくらい明るいか。重要なポイントだ」
日本ベッドハカセ!やっぱりそうなの?
光は生命活動に直結する「信号」だ
生物にとって、眼球から入る光は
「明かり」の役割をするだけではない。
生命活動に直結する「信号」として作用する。
信号としての光は、眠りという生命活動にも、大きな影響を与えるものだ。
光を表す単位には、
「照度:lx(ルクス)」と「相関色度:K(ケルビン)」 がある。
つまり「明るさ」と「色」だな。
昼間は太陽の光を享受して、照度・相関色度ともに高い、明るい環境で過ごす。
夜間は室内の照明を工夫して、照度・相関色度ともに抑えた環境で過ごす。
これが、心地よい睡眠のための理想の光環境だ。
(n.05)
◇
─「うさみん、天井の電気点けっぱなしだよ!」
─「睡眠中は暗いに越したことはない」
明るくても眠っちゃうけどなぁ
─「いやいや」
睡眠中は暗いに越したことはない
睡眠中は部屋の明かりを消し、
光源を直視しない環境をつくるとよい。
「メラトニン」は光に対する感受性が高くて、
明るい環境にいると生成が妨げられてしまうからだ。
きみたちは「メラトニン」は知ってるかな。
「メラトニン」というのは、体内時計を調整するホルモンの一つだ。
眠りのリズムを司っているんだよ。
単純に考えれば、真っ暗な方が睡眠の質は高まることになるけれど、
あまり暗いと心配なようなら、豆電球ほどの間接照明や足元灯があると安心だな。
(n.04)
◇
─「うさみん、寝る前にスマホ見てると目が冴えちゃうよ!」
─「分かっちゃいるけれど…の類だな」
分かっちゃいるけれど…の類いだな
厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査では、
「睡眠の確保の妨げになっていることは何か」
という質問に対し、
20 歳代女性では42.7%、
20 歳代男性では43.2%の人が、
「就寝前に携帯電話、メール、
ゲームなどに熱中すること」と答えている。
参考文献:厚労省 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要(p.57)
(n.03)
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─「遠足楽しかったね!山登りして、もうへとへとー」
─「体の疲れはぐっすり眠って回復すべし」
わーそうなの?お喋りしてれば元気になっちゃうよ
─「だめだめ」
体の疲れはぐっすり眠って回復すべし
楽しかった日は、ついはしゃいでしまって夜更かししがち。
でも、まずはぐっすり眠るのがお勧め。
体の疲れを取るだけなら他にも方法はあるが…
自律神経中枢が疲労すると、人は疲れを感じる。
神経中枢の疲れを取るには、リラックスしてよく眠るしかない。
やっぱり疲れたときには良く眠るのが一番なんだ。
最初の90分でぐっすり眠るほど、成長ホルモンがしっかり分泌されて、体の修復が促される。
しっかり眠ると疲れの取れ方も違って来るぞ。
(n.02)
◇
─「うさみんたら、徹夜でテスト勉強?無理しないでちゃんと寝ようよ!」
─「テストなら徹夜より眠るべし」
あ!日本ベッドハカセ!
テストなら徹夜より眠るべし
徹夜はよくない!
テストでいい成績を取りたいなら、
むしろ、普段からちゃんと眠ることだ。
眠りは記憶を強化・固定・整理する
といわれている。
逆に眠らないでいると、
脳の老廃物が充分に排出されず、
長期的には脳のダメージにつながってしまう。
理想的な眠り方というのは、変化するものだ。
体調や季節、年齢によっても違う。
朝、気持ちよく目覚められるし、
日中、アクティブに活動できて、
眠気に悩まされない。
それが「理想的な睡眠が取れている」という状態だ。
(n.01)
… to be continued